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この記事では、英語が難しいと言われる理由と、それを比較的に簡単にする方法について説明します。
英語は、世界中で最も広く話されている言語の一つですが、多くの人にとって英語は難しいと感じられることがあります。学ぶ価値のあるスキルには、それなりの困難があります。しかし、適切なツールや戦略によって、比較的に容易にすることができます。私たちは、なぜ英語を第二言語としての習得が難しいかをお伝えする一方で(練習の必要性)、より早く習得(練習の質の向上)するためのヒントも用意しています。
英語が難しい5つの理由
英語が難しい理由1:発音・綴り
英語では同じようなスペルの単語が異なる音で発音されることがよくあります。例えば、『through』、『though』と『tough』は似ていますが、発音が大きく異なります。
下の音声ボタンを押して聞いてみてください。
『through』
『though』
『tough』
これらの違いに耳を慣らすには、ある程度の時間が必要でしょう。
英語が難しい理由2:膨大なボキャブラリー
他の言語と比較して、動詞などの活用を含め、英語は非常に広範な単語を持っています。また、一つの単語に対して複数に意味があったり、文脈によって使い方が異なったりします。そのため、新しい単語に絶えず出会うことから、単語学習に終わりがないかのように感じるかもしれません。
しかし、この情報があなたを不安にさせることはありません。なぜなら、毎日使う「英語の単語」の大部分は実際には限定的な範囲内に存在するからです。また、これらの単語を理解し、適切に使用する能力を身につけることで、あなたの英語の流暢さやコミュニケーション能力は劇的に向上します。最後に、新しい英単語を学ぶ際にはその文化的背景や使用法を理解することが重要です。
英語が難しい理由3:複雑な文法
英語の文法は、習得を難しくするクセに満ちています。例えば、英語には、名詞にいくつかの形容詞が連続する場合に、どの形容詞を最初に使うかについて特別なルールがあります。
このルールに従って、a small red bird flew through the windowと指摘することはできても、a red small birdでも伝わりますが、無器用な表現になってしまいます。英語の本『The Elements of Eloquence』によると、形容詞の順番は、意見、大きさ、年齢、形、色、起源、材料、目的のようにするのが良いとされています。
数え方にも例外があります。例えば、ほとんどの名詞はs、es、iesをつけると複数形になります。しかし、ある種の名詞は、他のルールに従った特別な複数形を持っています。例えば、『Mouse』 は1匹のネズミですが、数匹のネズミは『Mice』と言います。一方、一軒の家は『House』と言い、複数の家は『Houses』と言います。また、一頭の牛は『Cow』、複数の牛は『Cows』と呼びます。しかし、子牛の呼び方は異なります。「Calf」は一頭の子牛を指しますが、「Calves」は複数の子牛を指します。
学習者が頭を悩ませるその他の要素としては、動詞のパターンと時制、助動詞、主語と動詞の一致などがあります。繰り返しになりますが、これらの要素に特に注意を払うことで、より早く習得することができます。また、たくさん練習し、英語の感覚を身につけることが大切です。どんどん英語を使い、間違えましょう。しかし、間違えを放っておかずに、間違えから学びましょう。
英語が難しい理由4:イディオムの多さ
英語には多くの慣用句、つまり風変わりな言い方があり、それが理解を難しくしています。例えば、滅多に起こらない出来事を once in a blue moon と表現できます。『映画は滅多に見に行かない』は、『I only go to the movies once in a blue moon』となります。 イディオムなしで言うと、『I seldom go to the movies』または、『I rarely go to movies』となります。
また、AI 翻訳(2023年、現在)を使うと『I only go to the movies once in a blue moon』は『私はブルームーンに一度だけ映画に行きます』と直訳されるので、イディオムの翻訳には気を付けてください。『Barking up the wrong tree – 見当違いのこと追求すること』は『間違った木に吠えている』など、と直訳されてしまいます。
他にも、いくつか紹介します。
- Piece of cake – 簡単だと思われているもの。
- Cost an arm and a leg – 非常に高価なもの。
- Losing your head – パニックになったり不安になったりすること。
- Give someone the cold shoulder – 誰かを無視すること。
- Under the weather – 体調が悪いこと。
英語が難しい理由5:地域の違い
英語は、他の言語と比べて表現の幅が広い言語として知られています。しかし、その反面、表現の違いによって英語を理解することが難しくなることもあります。
英語は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなど、さまざまな国で話されています。これらの国々はそれぞれ独自のアクセントや表現の違いを持っており、そのために英語を学ぶ際には、これらの地域の違いにも注意が必要です。例えば、エレベーターのことをアメリカ英語では「elevator」という言葉が使われますが、イギリス英語では「lift」という言葉が使われます。綴りもアメリカ英語かイギリス英語で多少違う場合があります。例えば、アメリカ英語の『color』 はイギリス英語では『colour』と表記されます。
同じ言葉を使っても、意味が違う場合もあります。例えば、『pants』という単語を考えてみましょう。この単語はアメリカ英語・オーストラリア英語では「ズボン」という意味ですが、イギリス英語では「下着」という意味になります。同じ単語を使っているにも関わらず、国や地域によって意味が異なるため、混乱してしまうことがあります。
このような言葉の違いは、各国や地域の歴史や文化の違いによるものです。英語はイギリスから広まっていきましたが、各国や地域で独自の言葉の使い方や意味が発展していった結果、同じ単語でも異なる意味を持つようになったのです。
また、英語のネイティブスピーカーは、スラングや口語表現を多く使います。これらは学校の教科書にはほとんど載っていないため、実際の英語の会話やメディアを通じて触れる機会が重要です。
英語を学ぶための5つのヒント
先に説明したように、新しいスキルをより速く習得するには、方法、ツール、戦略を頼りにすることが重要です。
ここでは、英語を上達させるためにできる、5つのことを紹介します。
1:英語の発音を学ぶ (発音・リスニングを最優先)
英語の発音を理解し、区別する能力は英会話だけではなく、英語学習の全てに役立ちます。私たちの脳は、母国語によって設計されています。そのため、外国語に対応できるように、脳を再配線することが最も重要なことの一つです。さらに詳しく言えば、特定の音声パターンやアクセントを識別する能力は、英語の流暢さを向上させる上で不可欠です。
この視点から見れば、聴覚訓練は英語学習の基礎的な側面であり、それを強化することで全体的なコミュニケーションスキルが向上します。もちろん、ネイティブ・レベルな発音や耳を養う必要はありませんが、日々の生活の中で積極的に英語を聴くことを心掛けてみてください。
また、音声認識技術の進歩により、英語の発音やイントネーションを確認しやすくなってきました。これらのツールを活用し、自分の発音が正確かどうかを確かめることが可能です。
2:重要な語彙に集中する
英語には膨大な語彙があることはすでに述べました。早く語彙を増やしたい場合、出会う単語を全て覚えようとはしないでください。むしろ、最も有用な単語を知ることが大切です。
頻度リスト(2000語)とは、最もよく使われる語彙をまとめたものです。こういったリストから学ぶことで、文章や会話の中で出てくる英単語の大部分を理解できるようになります。頻度リストに出てくる単語を実践で使える語彙と呼べます。
3:英文法の感覚やパターンを優先する
英語を早く習得したい場合、文法書の熟読や文法のドリル(中心の学習・だけの学習)をおすすめしません。もちろん、文法書やドリルも役に立ちます。必要に応じて使い、細かなルールも学ぶことができます。しかし、ほとんどの文法の形は、ネイティブスピーカーがどのように話しているかに注意を払いながら、パターンに気づきましょう。また、読み書きの向上のための英文法は後でも身につけることができます。ですから、英文法の感覚やパターンを身につけることを優先しましょう。
英語メディアを頻繁に利用し、自然で直感的な方法で文法を吸収することをおすすめします。また、会話などで文法の間違えに気づいたら、そのままにするのではなく、その間違えをノートなどに書き込みましょう(スマホのノート機能も活躍します)。間違えを振り返ることで意識的に文法を修正することができます。
4:ネイティブスピーカーとたくさん練習する
英語を学ぶ最良の方法は、できるだけネイティブ・スピーカーと一緒に練習することです。ネイティブ・スピーカーは、ネイティブレベルの発音、即時のフィードバック、そして新しい語彙や表現の供給源を提供してくれます。
また、オウムのように決まった会話パターンにしか対応できない様になることを避けなければいけません。そのためには、予測できない状況下での実践的な練習が必要です。
5:読む力をつけて、たくさん読む
英語をたくさん使うことは、英語力の向上に欠かせません。練習の質も大切ですが、量も大切です。実際、頻繁に英語を使用することで、その表現や文法に自然と馴染むことができます。この点については、多くの学術研究が英語使用量と能力向上の間に強い相関関係があることを示しています。したがって、日常生活の中で可能な限り英語を使う機会を増やすことは、確固たるスキルアップへの道筋と言えます。
読むことを通して、膨大な英語に触れることができます。また、英語で読むスキルは様々な場面で役に立つだけではなく、読書という楽しみにも繋がります。
私たちは年齢に関係なく、多読をおすすめしています。
英語に触れる機会を増やすためにYouTubeの動画や映画を見ることも良い方法ですが、自分のレベルに合わせて、内容の理解ができるものを見ましょう。
最後に
発音・聴覚訓練をし、頻度リストの単語を覚え、そして、英文法の感覚を身につけることを優先しましょう。それらを英語の基盤作りとでも呼びましょう。基盤づくりを無視して、英語を学ぼうとすると遠回りな学習になってしまうケースが多々あります。長文の執筆、細かい文法の知識や低頻度な語彙の学習は、英語のレベルが向上してから取り組むことをおすすめします。英語の基盤があってこそ、もっとレベルの高い英語を使えるようになります。
英語学習は大変ですが、英語の楽しみも忘れないでください😊